介護施設の採用戦略、自転車操業になっていませんか?

介護施設の採用で悩みを抱えている方も多いのではないかと思います。
採用を頑張り続けているのに、なぜかずっと楽にならないという施設もあるのではないでしょうか。
人が足りないから採用する。
採用したのに辞めてしまう。
また人が足りなくなる。
この循環に入ってしまうと、
どれだけ求人を出しても、
現場は常にギリギリの状態が続きます。
介護施設の立ち上げや運営において、
多くの事業者が頭を悩ませるテーマの一つが「採用」です。
- 人が集まりにくい
- 採用できても、すぐに辞めてしまう
- 常に人手不足の状態が続いている
こうした状況から、
「採用し続けなければ現場が回らない」
いわゆる採用の自転車操業に陥っている施設も少なくありません。
求人媒体を変えたり、条件を見直したりしても、
根本的な改善に至らないケースが多いのも現実です。
介護施設で「人が集まらない」背景にある現実
多くの施設では、
- そもそも応募が集まりにくい
- 採用しても定着せず、人手不足が解消しない
という二重の課題を抱えています。
その一方で、
人が辞める原因そのものを十分に整理・改善しないまま、
次の採用に手を付けてしまっているケースも少なくありません。
目の前のシフトや現場を回すことが最優先となり、
- 組織のあり方
- 運営の前提
- 判断基準やルール
といった根本的な課題に手を付ける余裕がなく、
結果として
「採用と離職を繰り返す状態」から抜け出せなくなってしまいます。
採用がうまくいかない理由は、
採用方法そのものではなく、
組織全体の前提整理が後回しになっている点にあります。
組織の方向性が曖昧なままの採用は、早期離職を招きやすい
採用が定着しない施設では、
- どのような施設を目指しているのか
- どのような利用者を想定しているのか
- 何を大切にして運営しているのか
といった組織の方向性や軸が、
十分に整理・共有されていないことが多く見られます。
この前提が曖昧なまま採用を行うと、
- 入社前に聞いていた話と現場の実態が違う
- 判断基準が見えず、不安になる
- 「自分はこの施設に合っていないのでは」と感じる
といった違和感が生まれやすく、
結果として早期離職につながってしまいます。
施設立ち上げ時に整理しておくべき
「原点」と「方向性」については、
『介護施設の立ち上げは何から?最初に決める2つのポイント』
で具体的に解説しています。
人事制度・運営ルールが曖昧だと、離職は加速する
採用後に人が定着しない施設では、
- 評価基準が明確でない
- 判断が管理者や一部の個人に依存している
- ルールの運用が人によって変わる
といった状態が見られることがあります。
こうした環境では、
- 「何を頑張れば評価されるのか分からない」
- 「言う人によって話が違う」
- 「特定の人の意見だけが通る」
といった不満が蓄積し、
人が辞めやすい組織構造ができてしまいます。
情報管理・業務ツール不足が、定着を妨げる理由
一見、採用とは関係がなさそうに見える
情報管理や業務ツールも、離職に直結する要因です。
- 必要な情報が見つからない
- 引き継ぎが属人的
- 記録や申し送りに時間がかかる
こうした状況が続くと、
- 業務効率の悪さへのストレス
- 「聞いていない」「知らなかった」というトラブル
- 人間関係の悪化
へと発展するケースも少なくありません。
DXや情報整理は、
単なる効率化ではなく、
人が働き続けられる環境を支える土台でもあります。
現実として、一定数の離職は避けられない
どれだけ準備を整えても、
一定数の離職は必ず発生します。
価値観の違い、ライフステージの変化、体力的な理由など、
すべてを組織側で防ぐことはできません。
特に職員数が多くなる施設では、
「全員が長く働き続ける」ことを前提にした運営は、
現実的とは言えません。
目指すべきは「辞めない組織」ではなく「崩れない組織」
重要なのは、
誰も辞めない組織をつくること
ではなく、
一定の入れ替わりがあっても、現場が崩れない組織をつくることです。
そのためには、
- 個人に依存しすぎない仕組み
- 共通の判断軸
- 誰が入っても回るオペレーション
が欠かせません。
既存施設と、新設施設の決定的な違い
すでに稼働している施設では、
これまでのやり方や人間関係、暗黙のルールが文化として根付いています。
そのため、
辞めにくい仕組みを導入しようとすると反発が生じることもあります。
一方、これから立ち上げる施設には、
- 最初から判断軸を設計できる
- ルールを前提として運営を始められる
- 情報管理やオペレーションを初期から整えられる
という大きなメリットがあります。
立ち上げ期は大変ですが、
人が辞めにくい組織風土をつくりやすいタイミングでもあります。
採用で本当に重視すべきは「人としての在り方」
この視点に立つと、
採用で見るべきポイントも変わってきます。
経験やスキル以上に重要なのは、
- 組織の考え方に共感できるか
- チームで働く意識があるか
- ルールや仕組みを受け入れられるか
といった人としての在り方です。
ここが合っていなければ、
どれだけ能力が高くても、
結果として組織を疲弊させてしまうことがあります。
採用戦略は「組織づくり」の延長線上にある
採用は、単独で考えるものではありません。
- 組織の方向性
- 想定する利用者像や要介護度
- 人事制度・運営ルール
- 情報管理や業務の仕組み
これらを整理した先に、
はじめて定着につながる採用があります。
要介護度・医療依存度と施設運営の関係については、
『要介護度・医療依存度の設定を間違えると施設運営は苦しくなる』
で詳しく整理しています。
まとめ|採用は「人を集めること」ではない
介護施設の採用戦略で本当に重要なのは、
人を増やすこと
ではなく、
組織を維持し続けることです。
一定数の離職が起こることを前提にしながら、
- 組織としての軸を定め
- その軸に合う人を迎え
- 属人化しない体制を整える
この積み重ねが、
採用の自転車操業から抜け出すための、
現実的な道筋になります。
現場を支え続けるために、
どこから手を付けるべきかを整理するだけでも、
見える景色は大きく変わります。
私たちは介護事業の立ち上げを
豊富な実績をもとに伴走支援しています。
不安や課題があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

鈴木 隆広
介護・医療分野において、事業立上げから既存事業所の運営改善までを支援。
現場視点を大切にし、組織づくり・業務改善・IT活用を通じて、無理のない事業運営をサポートしている。
中小企業診断士/kintone認定アソシエイト
