介護施設の立ち上げは何から?最初に決める2つのポイント

介護施設の立上げは、何から始めたらよいのでしょうか。
介護施設を立ち上げようと考えている事業者様の中には、
- 施設の立上げといっても、やることが多すぎて整理できていない
- 人の採用、制度設計、設備やシステムの検討、シフト設計…
- 何から手を付けるのが正解なのか分からない
このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実際、介護施設の開設準備には、実務レベルでやるべきことが非常に多く存在します。
しかし今回は、それらの具体的な準備項目を一旦横に置き、「介護施設の立ち上げで、最初に必ず決めておくべき2つのポイント」についてお伝えします。
この記事では、
- 介護施設の立ち上げは何から考えるべきか
- 準備の前提を間違えると、どこで問題が起きるのか
を整理していきます。
ポイント①|なぜ介護施設を立ち上げるのか
1つ目のポイントは、「原点に立ち返る」ことです。
ここでいう原点とは、「なぜ、介護施設を立ち上げようと思ったのか」という問いです。
「そんなことは、もう決まっている」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際の立上げ支援の現場では、
- 想いはあるが、言語化されていない
- 事業計画と理念がつながっていない
- 経営者の頭の中だけに留まっている
というケースを多く目にします。
この記事を通して、ご自身の施設立上げの軸を改めて整理し、明確にする、そのきっかけになれば幸いです。
なぜ、施設を立ち上げようと思われたのでしょうか?
改めて考えてみてください。例えば、
- 既存事業を拡大するため
- 多角化経営によりリスク分散を図るため
- 介護業界の課題やニーズに応えたいと考えたため
など、背景や想いは事業者様によってさまざまだと思います。どれが正解・不正解ということはありません。
重要なのは、その想いを自分の言葉で説明できる状態にしておくことです。
もう一歩踏み込んで考えてほしい問い
ここで、もう一段階踏み込んだ問いを考えてみてください。
- 施設立上げを通じて、どのような会社・法人にしていきたいのか
- どのような組織になるために、この施設を立ち上げるのか
この問いは、単なる理念づくりではありません。
介護施設立上げにおけるゴール設定そのものです。
ゴールを明確にすることの重要性
ゴールとは、
- 旅でいえば「目的地」
- 建物でいえば「完成予想図」
にあたるものです。
ゴールが明確な状態で事業をスタートすれば、
- 想定外の課題に直面しても
- 環境の変化に揺さぶられても
判断の軸を失わず、前に進むことができます。
一方で、ゴールが曖昧なまま介護施設の開設準備を進めてしまうと、
- 経営者と現場の認識がずれる
- 管理者ごとに判断基準が異なる
- 結果として、組織がバラバラな方向へ進んでしまう
といった事態が起こりやすくなります。
ポイント②|どのような施設にしたいのかを明確にする
ポイント②では、どのような施設として事業を設計するのかを、より具体的に考えていきます。
まず、最初に整理しておくべきなのが、『どのような利用者、入居者を受け入れる施設にするのか』という点です。
想定する利用者・入居者を明確にする
まず、最初に整理しておくべきなのが、「どのような利用者、入居者を受け入れる施設にするのか」という点です。
具体的には、
- どの程度の要介護度を想定するのか
- どの程度の医療依存度を受け入れるのか
といった、介護施設運営の前提条件を明確にする必要があります。
ここが定まらなければ、施設の難易度や運営の性質そのものが定まりません。
施設のコンセプト・想いを整理する
そのうえで考えるべきなのが、どのようなコンセプト、想いを持った施設にするのかという点です。
- どのような姿勢で利用者と向き合うのか
- 何を大切にし、どのような判断基準を持つ施設なのか
この考え方が、施設運営の軸となります。
コンセプトが人・運営・制度をつなぐ
この軸が明確になることで、
- どのような考え方に共感できる人を集めるのか
- どのような人材を、立上げ時に迎えるのか
といった人選の基準が自然と見えてきます。
さらに、
- 現場をどのような運用ルールで回していくのか
- どのようなオペレーション体制が必要なのか
といった点にも、このコンセプトは大きく影響します。このように、
・想定する利用者、入居者
・要介護度、医療依存度
・施設としてのコンセプト、想い
これらを順序立てて整理することで、
・人材採用
・組織体制の構築
・制度設計
・IT・DXの導入方針といった、
今後の具体的な施策すべてが一本の線でつながっていきます。
施設長の選定にも直結する重要なポイント
そして、このポイント②において、特に重要になるのが施設長の選定です。
施設長は、この前提条件とコンセプトを理解し、日々の判断として現場で体現していく存在です。
どのような施設にしたいのかという軸が明確でなければ、「どのような施設長がふさわしいのか」も判断できません。
ポイント①で整理した「原点」と、このポイント②で明確にした「前提条件とコンセプト」。
この2つをあらかじめ設定しておくことで、立上げ後に難しい判断を迫られた場面においても、迷わず決断するための軸を持つことができます。
この前提をおろそかにすると、どこで問題が起きるのか
ここまでお伝えしてきたように、ポイント②では、
・どのような利用者、入居者を受け入れるのか
・どの程度の要介護度、医療依存度を想定するのか
・その前提のもとで、どのようなコンセプトを持つ施設にするのか
という順序で、ゴールを整理することが重要になります。
では、この前提を曖昧なまま立上げを進めてしまうと、何が起こるのでしょうか。
人材採用の段階で問題が発生する
まず影響が出るのが、人材採用です。
想定する利用者像や医療依存度が曖昧なままでは、
・どのレベルの経験やスキルが必要なのか
・どのような価値観を持つ人が合うのか
といった採用基準が定まりません。
結果として、
・採用時の説明と、現場の実態がずれる
・「思っていた仕事と違う」という早期離職が起こる
といった問題につながりやすくなります。
現場の判断が属人化する
次に起こりやすいのが、現場判断の属人化です。
コンセプトや判断基準が共有されていない状態では、
・施設長ごと
・管理者ごと
・シフトごと
に、判断の方向性が変わってしまいます。
その結果、
・対応にばらつきが出る
・スタッフ同士で不満が生まれる
・利用者や家族からの信頼を損ねる
といった事態が起こりやすくなります。
オペレーションが現場を圧迫する現場の判断が属人化する
想定する要介護度や医療依存度と、実際のオペレーション体制が噛み合っていない場合、
・人手が常に足りない
・休憩が取れない
・記録や連携業務が回らない
といった状況に陥ります。これは、現場の努力不足ではなく、前提条件の設定ミスが原因です。
最終的には「施設の方向性」が揺らぐ
これらが積み重なると、
・経営判断が場当たり的になる
・当初の想いが現場に伝わらなくなる
・組織としての一体感が失われる
といった状態になりやすくなります。その結果、
「この施設は、何を大切にしているのか」が、スタッフにも、利用者にも、見えなくなってしまいます。
だからこそ、最初のゴール設定が重要になる
ここまで見てきたように、前提条件やコンセプトを曖昧にしたまま立上げを進めると、問題は必ず、人・現場・運営のいずれかで表面化します。
だからこそ、
・想定する利用者、入居者
・要介護度、医療依存度
・施設としてのコンセプト、想い
これらを、立上げの最初に整理しておくことが重要なのです。
まとめ|私たちの介護施設立上げ支援について
ここまでお伝えしてきたように、介護施設の立上げ・開設準備においては、
- なぜ施設を立ち上げるのかという「原点」
- どのような施設にしたいのかという「前提条件とコンセプト」
この2つを、最初に整理しておくことが、その後の判断や運営を大きく左右します。
とはいえ、これらを一人で考え、言語化し、整理していくことは、決して簡単なことではありません。
当社の組織開発・介護施設立上げ支援では、この2つのポイントから一緒に立ち止まり、対話を重ねながら考えを固めていく伴走支援を行っています。
「まずは考えを整理するところから相談したい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
私たちは介護事業の立ち上げを
豊富な実績をもとに伴走支援しています。
不安や課題があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

鈴木 隆広
介護・医療分野において、事業立上げから既存事業所の運営改善までを支援。
現場視点を大切にし、組織づくり・業務改善・IT活用を通じて、無理のない事業運営をサポートしている。
中小企業診断士/kintone認定アソシエイト
